こんにちは。鍼灸整体院「和 からだみなおし処」院長の矢上真吾です。
今回は、最近話題になっている「ベジファースト」が、なぜ最新の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」から外されたのか、そして食事の際に心掛けておきたいポイントについてお伝えします。
健康的な食習慣は、私たちの自然治癒力を高め、痛みを起こしにくい体づくりにつながります。
ぜひ最後までお読みいただき、毎日の食事の見直しにお役立てください。
1.「ベジファースト」とは何か
「ベジファースト」とは、食事をする際に最初に野菜を食べることで、その後に摂取する糖質や脂質の吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇を抑えるという食事法です。
数年前からダイエットや血糖コントロールを目的に多くの人が実践し、その名前を耳にする機会も増えました。
実際、食物繊維が豊富な野菜を先に食べることで、胃の中で食べ物の移動が遅くなり、血糖値の上昇が穏やかになるという研究報告もあります。
他にも、野菜を先に食べることで「満腹感」を早く得られ、食べ過ぎを防止しやすくなるというメリットが言われてきました。
しかし、その背景には「ベジファーストを実践すれば必ずダイエット効果や血糖コントロールがうまくいく」という科学的根拠が、十分に揃っていないという側面があります。
そのため、2025年に改訂された「日本人の食事摂取基準」では、従来盛り込まれていた「ベジファースト」の文言が削除されることとなりました。
2.なぜ「ベジファースト」が削除されたのか
(1)エビデンスの不十分さ
かつて「ベジファースト」は厚生労働省の基準やガイドラインでも紹介され、「野菜から食べることは良いこと」と推奨されてきました。
しかし、近年さまざまな研究が行われる中で、「野菜を最初に食べると血糖値の上昇が抑えられる」という調査結果はあるものの、その研究数や対象者、実験条件が限定的であり、万人に当てはまる普遍的な根拠とまでは言い切れないという見直しが入ったのです。
たとえば、ある短期間の実験では、被験者を数十名に限って血糖値を計測し、野菜を先に食べたグループが血糖値のピークが低かったという結果が報告されています。
しかし、対象者の食生活習慣や年齢、性別、運動量などのデータが十分に揃っておらず、一部の健康な成人に限定された研究だったため、「高齢者や糖尿病患者、肥満傾向のある人にも同じ効果がある」と断言するにはエビデンスが足りないと判断されたのです。
厚生労働省としては、ガイドラインに盛り込む以上、幅広い国民が実践でき、かつ科学的にしっかり裏付けされている内容である必要があります。
したがって、十分な研究と実証データが不足している「ベジファースト」に関する記載は、2025年版の改定にあたり整理の対象となりました。
(2)適用対象や条件の限定
さらに、野菜を先に食べることで得られる効果は、あくまで「食事のタイミングや組み合わせを工夫した場合」に過ぎません。
たとえば、糖質を大量に含む炭水化物の量が多すぎる食事をいくらベジファーストで食べても、最終的な血糖値のコントロールには限界がありますし、そもそも食事全体の栄養バランスが崩れていれば意味は半減します。
つまり、ベジファーストはあくまで食べ方の一例であり、特定の食事スタイルや摂取量と組み合わせなければ最大効果が得られない可能性があります。
このように条件が限定される方法を国民全体に推奨し続けるよりも、基本的な「バランスの良い食事」「適切なエネルギー摂取」「適度な運動」といった普遍的な健康づくりの方向性を重視したほうが、ガイドラインとしての信頼性や実践効果が高いと判断されました。
3.「ベジファースト」以外に注目したい食事のポイント
「ベジファースト」がガイドラインから削除されたと聞くと、「じゃあ野菜は後で食べてもいいのか?」と疑問に思うかもしれません。
しかし、野菜を摂ること自体には変わらず大きな意義があります。
ここでは、日常生活に無理なく取り入れられる、科学的根拠のある食事のポイントをいくつかご紹介します。
(1)一食ごとのバランスを意識する
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- 主食(炭水化物):ご飯、パン、麺などを適量。特に白米よりも玄米や雑穀米を選ぶと食物繊維やビタミン・ミネラルが多く摂れます。
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- 主菜(たんぱく質):肉、魚、卵、大豆製品など。筋肉やホルモンの材料であるたんぱく質は、体の修復や免疫機能を支える重要な栄養素です。
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- 副菜(野菜・きのこ・海藻など):ビタミン、ミネラル、食物繊維を豊富に含む副菜は毎食欠かさず取り入れましょう。彩り豊かな野菜を揃えることで、栄養バランスが整います。
食事は「主食・主菜・副菜」の三大栄養素をバランスよく組み合わせることが基本です。
まずは皿の上で何が足りないかをチェックし、野菜が少なければ副菜を増やす、たんぱく質が不足していればおかずを工夫するなど、一食ごとにバランスを確認しましょう。
(2)食材選びは五色(ごしょく)を意識
昔から「医食同源」の考え方では、赤・黄・緑・白・黒の五色を揃えることで、さまざまな栄養素をまんべんなく摂れるとされています。
具体的には以下のように分類できます。
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- 赤色食材:トマト、赤ピーマン、スイカ、パプリカなど。抗酸化物質リコピンやビタミンAを含み、血液サラサラ効果が期待できます。
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- 黄色食材:かぼちゃ、人参、パプリカ、バナナなど。β-カロテンやビタミンCを多く含み、免疫力アップや皮膚・粘膜の健康維持に役立ちます。
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- 緑色食材:ほうれん草、小松菜、ブロッコリー、ピーマンなど。ビタミンKや葉酸、食物繊維を豊富に含み、骨の健康や便通をサポートします。
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- 白色食材:大根、白菜、れんこん、きのこ類(しめじ、えのきなど)。カリウムや食物繊維が含まれ、むくみ解消や腸内環境整備に役立ちます。
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- 黒色食材:海藻(ひじき、わかめ)、黒ごま、きくらげなど。ミネラルや食物繊維が豊富で、骨や血管の健康維持、コレステロール調整に効果があります。
五色を意識することで、自然と栄養バランスが整い、健康レベルを底上げできます。食材選びの参考にしてみてください。
(3)ゆっくりよく噛んで食べる
血糖値の上昇を抑える手段として「よく噛む」ことは非常に有効です。
ゆっくり咀嚼することで、唾液に含まれる消化酵素がしっかり働き、胃腸への負担が軽減されるとともに、満腹感が得られやすくなります。
ベジファーストの有無にかかわらず、急いで食べるのではなく、一口につき30回程度を目安にゆっくり味わいながら食べましょう。
(4)適度な運動と合わせて血糖コントロールを
食事だけに頼るのではなく、ウォーキングや軽い筋力トレーニングを組み合わせることで、血糖値の上昇をさらに緩やかにできます。
特に食後の30分〜1時間程度のウォーキングは、血糖値を下げる効果が期待できます。
院では、患者さん一人ひとりの体力や症状に合わせた簡単なエクササイズなどもご提案していますので、お気軽にご相談ください。
4.「ベジファースト」だけに頼らない、体づくりの考え方
「ベジファースト」が削除された今だからこそ、食事を健康的に整える本質的なポイントを改めて押さえたいものです。
ただ「野菜を先に食べる」だけではなく、生活習慣全体を見直していくことが重要です。
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- 日常的にバランスの良い食事を意識する
一度にすべてを改善しようとせず、毎食「主食・主菜・副菜」を揃えることを心の片隅に置きましょう。冷凍野菜や缶詰をうまく活用しても構いません。特に野菜不足が気になる方は、お味噌汁やスープに刻んだ野菜を入れるだけでも効果的です。
- 日常的にバランスの良い食事を意識する
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- 食事時間とリズムを整える
食事の時間が不規則だと、血糖値スパイクや過食のリスクが高まります。朝・昼・夜はできるだけ決まった時間に摂り、夜遅い時間の大量摂取は控えましょう。
- 食事時間とリズムを整える
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- 十分な睡眠とストレスケアを行う
睡眠不足や過度のストレスは、ホルモンバランスが崩れ、血糖値コントロールに悪影響を及ぼします。夜はスマートフォンを控え、就寝前にストレッチや深呼吸を取り入れてリラックスすることをおすすめします。
- 十分な睡眠とストレスケアを行う
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- 定期的な体のメンテナンスを取り入れる
私たち「和 からだみなおし処」では、鍼灸や整体を通じて体の歪みを整え、自然治癒力を高める施術を行っています。体の歪みが整うと内臓の働きもスムーズになり、血流が改善されて代謝が上がることで、血糖値コントロールにも良い影響が期待できます。ご興味のある方はぜひ一度ご来院ください。
- 定期的な体のメンテナンスを取り入れる
5.まとめ:大切なのは“継続できる”健康づくり
「ベジファースト」は食事の工夫としてひとつの選択肢でしたが、エビデンスや適用範囲が限定されるため、最新ガイドラインからは外れました。しかし、野菜を食べること自体の重要性は変わりません。大切なのは、自分のライフスタイルに無理なく取り入れられる方法を見つけ、継続することです。
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- バランスの良い食事を心掛ける
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- ゆっくりよく噛んで食べる
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- 適度な運動を習慣化する
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- 十分な睡眠とストレスケアを行う
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- 定期的に体のメンテナンスを受ける
これらを組み合わせることで、痛みを起こしにくい、自然治癒力あふれる健康な身体づくりが可能になります。私たち「和 からだみなおし処」は、鍼灸や整体を通じて、皆さまの健康生活をサポートいたします。食事や生活習慣でお悩みの方、ぜひお気軽にご相談ください。
今後も当院ブログでは、食事や運動、セルフケアに関する情報を発信してまいります。どうぞお楽しみに!
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