1. いつ
- 日付: 2023年発行、「長崎県立大学看護栄養学部紀要」第21巻
2. 誰が
- 著者: 吉田 恵理子・永峯 卓哉(長崎県立大学看護栄養学部看護学科)
3. 背景
- 肩関節周囲炎(五十肩)は、40歳から70歳代の中年から高齢者に多く見られ、肩の痛みと可動域の制限を主症状とする疾患です。日常生活に支障をきたし、QOL(生活の質)を低下させることが多いですが、症状への対応が不十分な場合が多いです。
- 痛みの認識と対処:多くの人が肩関節周囲炎の症状を「日にちが薬」として放置することがあり、効果的な治療や適切な医療機関の受診を行わないケースが見られます。
4. 目的
- この研究の目的は、肩関節周囲炎(五十肩)の症状を経験した中年期女性がどのような体験をしているのかを明らかにし、その体験を基に看護支援の充実を図るための示唆を得ることです。
5. 内容
- 研究デザイン: 半構造化面接による質的記述的デザイン。
- 研究対象者: 5年以内に肩関節周囲炎を経験した40〜64歳の中年期女性4名。
- 調査方法: インタビュー形式でデータ収集。体験や思いを自由に語ってもらい、痛みの影響やセルフケアの工夫について詳細を収集。
- 主な発見:
- 【肩関節周囲炎に対する不確かな知識】: インターネットや友人の話からの自己解釈に基づく対処法が多い。
- 【日にちが薬と我慢する】: 痛みが自然に治ると信じ、我慢する傾向。
- 【リハビリと思い無理してでも動かす】: 痛みを感じつつも動かし続けることでリハビリ効果を期待する。
- 【セルフケアの工夫】: 家事や仕事での動作の工夫、サポートを求めるなど。
- 【改善しない痛み】: 痛みがなかなか改善せず、慢性的な不快感を感じる。
- 【疼痛による睡眠障害や集中力・作業能力の低下】: 痛みにより生活の質が大幅に低下。
- 【周囲の理解不足】: 痛みが周囲に理解されにくい。
6. 結果
- 肩関節周囲炎を経験した中年期女性たちは、正確な知識の欠如や「日にちが薬」といった誤解から不適切なセルフケアを行っていることが多いです。これにより、症状が悪化したり、痛みが長引くケースもありました。
- 適切な情報提供と支援が不足しているため、地域における保健指導や健康教育の充実が必要であることが示唆されました。
7. まとめ
- 肩関節周囲炎(五十肩)の経験は、多くの中年期女性にとって生活の質を大きく左右する問題です。痛みや可動域の制限によって生活が困難になることもありますが、正しい情報を持ち、適切なセルフケアを行うことが重要です。地域の保健師、理学療法士、薬剤師などの連携によるサポート体制の強化が求められます。
引用文献URL
http://reposit.sun.ac.jp/dspace/handle/10561/2013
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