――からだの「渋滞」をほどく6つの視点――
(執筆:和からだみなおし処 院長 矢上真吾)
はじめに
夕方になると靴がきつく感じたり、靴下のゴム跡がなかなか戻らなかったり――。
「むくみ」は多くの人にとって日常的な悩みですが、正しいしくみとケアのコツを知れば、かなりコントロールできます。
ここでは
- メカニズム
- 原因
- セルフケア
- よくある誤解「水分=むくみ?」
- まとめて飲む?こまめに飲む?
- 1日の適正水分量
の順で、高校生でも理解できるように解説します。
ぜひ最後まで読んで、今日から実践してみてください。
1.むくみのメカニズム――「水の循環」が渋滞するだけ
体の約60%は水分。
その流れを動かす3つのポンプが滞ると、余分な水が皮下組織にしみ出し“スポンジ状態”になります。
ポンプ | 役割 | 滞ると… |
---|---|---|
① 心臓ポンプ | 全身に血液を送る主エンジン | 静脈血の戻りが悪くなる |
② ふくらはぎポンプ | 歩行時に足先の血液を押し上げる“第2の心臓” | 長時間座る/立つで機能低下 |
③ リンパポンプ | 余った水・老廃物の下水処理 | 運動不足・疲労で流速↓ |
ポンプが同時渋滞すると、ホース内圧が上がり毛細血管から水が漏れ出すイメージ。
つまり「むくみ=水の流れが遅いだけ」と覚えておきましょう。
2.むくみを呼ぶ5大原因
- 姿勢固定:デスクワーク・立ちっぱなし・長時間の移動
- 筋力不足:とくにふくらはぎ
- 塩分過多 / カリウム不足:ナトリウムが水を引き寄せる
- 冷え・自律神経の乱れ:血管収縮で循環低下
- ホルモン・病気:月経前、妊娠、高血圧・腎疾患など
Check!
- 朝起きてもむくみが残る
- 片足だけ突然腫れた
- 痛み・息切れを伴う
いずれかに当てはまる場合は早めに医療機関へ。
3.セルフケア7選――家でも職場でもできる
方法 | ポイント | 目安 |
---|---|---|
① かかと上げ10回×3セット | 1時間おき、エレベータ待ちにも | |
② つま先立ち歩き30歩 | 歯みがき中など“ながら”で | |
③ 寝転び足上げ | クッションで心臓より15 cm高く | 1回10分 |
④ やさしいリンパマッサージ | 足指→足首→ふくらはぎ→ひざ裏へ“なで上げ” | 入浴後3分 |
⑤ 弾性ストッキング | 朝むくみが少ないうちに装着 | 立ち仕事の日 |
⑥ 温冷交代シャワー | 40 ℃1分→20 ℃15秒×3 | 夕方 |
⑦ 減塩+カリウム食 | だし・香辛料で味を補う/果物・野菜増量 | 毎食意識 |
4.よくある誤解:「水を飲むと余計むくむ」?
実は逆。
- 水を控える
→ 血液が濃くなる
→ 脳・腎臓は“脱水危険”と判断
→ 抗利尿ホルモン(ADH) が増え、水を体内にキープ
→ 余計にむくむ
- 塩=磁石、水=クリップ
塩が多いと磁石が強くなり、水(クリップ)が離れない。 - キュウリの浅漬け実験
塩を多くすると再び膨らむ=水を抱え込む例。
5.まとめて飲む?こまめに飲む?
がぶ飲み | こまめ飲み | |
---|---|---|
胃腸負担 | 胃が急膨張、逆流感 | 少ない |
血液希釈 | 急激→低ナトリウム血症リスク | 緩やか |
むくみ | 一時的血管圧↑で滲出↑ | 安定 |
集中力・運動 | 重くてパフォーマンス↓ | 維持 |
安全域 | 体重×7 mL/時を超えると危険 | 腎臓処理能力内 |
結論:200 mL前後を1時間ごとが理想。
6.1日に必要な水分摂取量
- 平均的な成人
- 失う水分:約2.5 L(尿・便・汗・呼気)
- 食事から:約1.0 L
- 体内で作られる水:約0.3 L
- 飲料から必要な量:1.2 L(コップ6杯分)(厚生労働省)
- ざっくり式:体重(kg) × 30 mL ≒ 1日の総必要量
- 60 kg → 1.8 L(うち飲料 1.2 L前後)
- 追加が必要な場面
- 汗をかく運動・炎天下:発汗量+300 mL
- 発熱・下痢・授乳時:医師指導の上こまめ補給
ポイント
- カフェイン飲料は利尿作用があるため、合計400ml程度までに。
- スポーツドリンクは長時間なら半分に薄めると吸収◎。
7.まとめ――むくみは「流れ」を取り戻せば変わる
- むくみは水の循環渋滞――3ポンプの働きを思い出そう。
- 原因の8割は姿勢固定+塩分過多+筋力不足で説明できる。
- セルフケアは動かす・上げる・温める・締める・減塩・こまめ水分の6本柱。
- 水は敵ではない。減らすとため込むのでこまめに飲む。
- 目安は飲料で1.2 L/day。体重・季節で微調整しよう。
おわりに:和からだみなおし処からのメッセージ
むくみは“体の声”です。
セルフケアで解消できる軽度なものから、思いがけない病気が隠れているケースまでさまざま。
「自分でケアしても3日続くむくみ」
「片足だけ急に腫れた」
「痛み・息切れを伴う」
こうしたサインがあれば、放置せず専門家にご相談ください。
当院では ふくらはぎポンプを高める鍼灸・手技 と 食事・運動指導 を組み合わせ、根本からむくみにアプローチしています。
気になる方はお気軽にLINE・お電話でどうぞ。
承知しました!以下に、今回のブログ執筆で参考にしたURLのまとめを作成しました。ブログ記事の最後に「参考文献」として載せていただければOKです。
参考文献・参考URL
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27236.html - MSDマニュアル「むくみ(浮腫)」
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/16-腎疾患/浮腫/浮腫の概要 - eJIM(統合医療情報発信サイト)「むくみ」
https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/04.html - 日本医師会「健康の森 むくみ」
https://www.med.or.jp/kansen/health/mukumi.html - 日本高血圧学会「減塩のすすめ」
https://www.jpnsh.jp/general_salt.html
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