なぜ高血圧は放置されるのか

高血圧が多くの命に関わっているにもかかわらず、対策が後回しにされやすい。その最大の理由は、症状がほとんどないことです。

頭痛がするわけでもない。強い痛みが出るわけでもない。日常生活も問題なく送れる。血圧が140を超えていても、150あっても、本人は「いつも通り」です。人は、困らなければ動きません。

「薬を飲んでいるから大丈夫」という安心感も、放置を助長します。降圧薬は血圧を抑えているのであって、なぜ血圧が上がったのかという背景までは変えていません。

さらに、予防のために医療機関へ通うことは、時間的にも心理的にもハードルが高い。予約、待ち時間、数分の診察、薬局での待機——症状がない状態でそこまで行動できる人は決して多くありません。

しかし本質は違います。高血圧は突然始まる病気ではなく、体のバランスが崩れ続けた結果として現れる状態です。だからこそ、症状がない段階で構造を理解することが重要になります。

血圧の仕組みと本質

血圧とは、血液が血管の壁にかけている圧力のことです。「上が140、下が90」などと言いますが、上(収縮期血圧)は心臓がギュッと血液を送り出したときの圧力、下(拡張期血圧)は心臓が休んでいるときの圧力です。

血圧を決める2つの要素

血圧 = 心臓の押し出す力 × 血管の硬さ(抵抗)

ホースで水を流す場面を想像してください。水を強く押し出せば水圧は上がり、ホースが細く・硬くなっても水圧は上がります。血管も同じです。心臓が強く働きすぎる、血管が硬くなる、血管が収縮する——このどれか、あるいは複数が起こると血圧は上がります。

血圧は"原因"ではなく"結果"です。
体のどこかに負担がかかり、循環がうまくいかなくなったとき、体は「圧力を上げる」という方法で帳尻を合わせます。だからこそ「なぜ体は圧を上げなければならなかったのか?」という視点が大切になります。

高血圧が進行すると何が起こるのか

高血圧そのものに強い症状はほとんどありません。しかし問題は「その先」にあります。血管にかかる圧力が高い状態が続くと、血管は少しずつ傷つき、硬くなっていきます。

脳卒中

脳の血管が詰まる、あるいは破れる状態。収縮期血圧が10mmHg上がるごとに、リスクは約30〜40%上昇すると言われています。

心筋梗塞・心不全

心臓が常に強い力で血液を送り続けた結果、心筋が肥大し、やがて疲弊・心不全へ。「頑張り続けた結果、限界を迎える」状態です。

慢性腎臓病

腎臓は細い血管のかたまりです。高い圧力が続くことでろ過機能が低下し、進行すると透析が必要になる場合もあります。

血管性認知症

脳の細い血管へのダメージが、認知機能の低下につながります。高血圧は血管性認知症の重要なリスク因子の一つです。

高血圧は派手な症状はありません。しかし血管に静かに負担をかけ続け、その負担はある日突然、別の形で現れます。「今は何もない」ことが、安全の証明にはならないのです。

なぜ血圧は上がるのか

血圧は突然、理由もなく上がるわけではありません。ほとんどの場合、日々の生活の積み重ねの結果です。むしろ「まじめに頑張っている人」ほど上がりやすいこともあります。

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    ① 交感神経の過活動(ストレス・緊張)

    忙しい、常に時間に追われる、頭が休まらない——そうした状態が続くと体はずっと"戦闘モード"になります。交感神経が優位になると心拍数が上がり、血管が収縮し、血圧は上がります。責任感が強い人ほどこの傾向があります。

  • 🫀

    ② 血管の老化(動脈硬化)

    年齢とともに血管は硬くなります。運動不足・糖質の多い食事・脂質異常・喫煙などが重なると、血管は弾力を失います。ホースが硬くなれば水圧は上がる——血管も同じです。

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    ③ 内臓脂肪と慢性炎症

    内臓脂肪は炎症物質を出し、血管を収縮させるホルモンを増やします。体重が5kg減るだけで血圧が下がることがあるのはこのためです。

  • 🧂

    ④ 塩分の摂りすぎ

    塩分が増えると体は水分をため込み、血液量が増えて圧力が上がります。ラーメンのスープ・漬物・加工食品など、無意識のうちに増えていることが多いのです。

  • 😴

    ⑤ 睡眠不足・睡眠時無呼吸

    睡眠が浅いと、本来夜に下がるはずの血圧が下がりません。いびきが強い方・朝スッキリしない方は要注意です。血圧は「夜に下がること」も重要です。

一般的な治療の意義と限界

高血圧と診断された場合、多くはまず生活習慣の見直しと、必要に応じて降圧薬が処方されます。降圧薬は科学的根拠に基づいた有効な治療です。

📊 エビデンス(参考) 収縮期血圧を10mmHg下げることで、脳卒中リスクが約30〜40%低下、心血管イベントが約20%低下という報告があります。(Law MR et al. BMJ 2009 / 厚生労働省 e-ヘルスネット)

薬は「悪いもの」ではありません。むしろ命を守る重要な手段です。ただし——

薬は血圧を下げているのであって、なぜ血圧が上がったのかという背景そのものを変えているわけではありません。

慢性的なストレス・運動不足・内臓脂肪・睡眠不足が続いていれば、体は依然として負担を抱えています。抑えることと、整えること。どちらかではなく、両方が大切です。

和からだみなおし処でできること
—「整える」という視点—

高血圧に対して、まず大切なのは医師の診断と適切な管理です。そのうえで、もう一つの視点があります。それが「体を整える」という考え方です。

和からだみなおし処では、血圧という"数字"だけを見るのではなく、なぜ体が圧を上げなければならなかったのかという背景に目を向けます。

和からだみなおし処の施術風景
1

自律神経を整える(整体と鍼灸)

高血圧の背景には、慢性的なストレスや交感神経の過活動が関わっていることが少なくありません。整体と鍼灸を通して身体の緊張をゆるめ、自律神経のバランスを整えることを大切にしています。過緊張が続いている体は、常にアクセルを踏み続けている状態。まずはブレーキがきちんとかかる体に戻すことが土台になります。

2

姿勢・筋肉・呼吸を整える

血圧は「循環効率」と深く関係しています。姿勢の崩れ・浅い呼吸・背中や首の緊張は血流にも影響します。整体では身体のバランスを整え、呼吸が深く入る状態を目指します。呼吸が整うと、自律神経も整いやすくなります。

3

運動療法の提案

施術だけで終わりません。週150分の有酸素運動で収縮期血圧が5〜10mmHg低下、体重を5kg減らすと約4〜5mmHg低下することが示されています(厚生労働省 e-ヘルスネット)。その方の体力や生活状況に合わせて、ウォーキング・スロージョギング・軽い筋力トレーニングなど、無理のない方法を提案します。

💊

薬で「守る」

医療による
リスク管理

🌿

整体・鍼灸で「整える」

根本の状態を
見直す

🚶

運動で「支える」

日々の習慣で
底上げする

WOTTという選択肢

和からだみなおし処では、整体・鍼灸・運動療法に加え、次世代リカバリーマット WOTT(ウォット) を導入しています。

WOTTはマットに横になるタイプのリカバリー機器です。メーカーの説明によると、特殊な振動技術により体内の水分環境に働きかけ、血流や循環機能の改善、回復力のサポート、自律神経バランスへの間接的影響などが期待されるとされています。

WOTTの位置づけ

WOTTは高血圧を直接治療する医療機器ではありません。和からだみなおし処では、医療による管理を前提としながら、体全体の循環環境を整えるサポートとして位置づけています。

血圧は循環効率の結果として現れる数字です。であれば、体の巡りを整えるという視点も、一つの可能性として考えることができます。

▶ WOTTについて詳しく見る

まとめ —静かだからこそ、向き合う—

高血圧は、派手な病気ではありません。痛みもない、生活もできる。だからこそ後回しにされやすい。しかし実際には、年間8〜9万人が命を落とし、約1兆7,000億円の医療費が使われ、社会全体にも大きな負担をかけています。

血圧は、ただの数字ではありません。体が無理をしているサインかもしれません。

  • 数字だけを抑えるのではなく、なぜその数字になったのかを整えること
  • 自律神経・姿勢・呼吸・循環・生活習慣を重ねて整えること
  • 薬・整体鍼灸・運動・必要に応じてWOTT、複数の手段を組み合わせること
  • 症状がないから大丈夫、ではなく、今の体を知ることから始めること

静かだからこそ、向き合う価値がある。高血圧は「怖い病気」なのではなく、放置されやすい状態なのです。今の数字を知り、今の体を知ることが、未来のリスクを減らす第一歩になります。