膝関節炎における鍼治療と運動療法の有用性について


論文情報

  • タイトル
    The Efficacy of Acupuncture, Exercise Rehabilitation, and Their Combination in the Treatment of Knee Osteoarthritis: A Randomized Controlled Trial
  • 著者
    Xin-Yuan Liu, Yue Ma, Zong-Yue Huang, Xin-Xin Xiao, Ling Guan
  • 掲載誌・年
    Journal of Pain Research, 2024 Sep;17:2837–2849
  • DOI
    10.2147/JPR.S465058
  • PMID/PMCID
    PMID: 39247172 / PMCID: PMC11379033 (pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)

要約

  1. 背景と目的
    • 膝骨関節炎(KOA)は中高年に多く見られる慢性疾患で、疼痛と機能障害を引き起こす。
    • 針治療(Acupuncture:AP)と運動リハビリテーション(Exercise Rehabilitation:ER)はそれぞれ疼痛軽減や機能改善に有効とされるが、両者の比較および併用効果は十分に検証されていない。
    • 本研究は、AP単独、ER単独、AP+ER併用(AE)の3群を比較し、各治療の有効性を評価することを目的とした。 (pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  2. 研究デザイン
    • 無作為化対照試験(RCT)。
    • KOA患者120名を、AP群(n=35)、ER群(n=36)、AE群(n=39)に割り付け。
    • 治療期間:4週間、フォローアップ期間:8週間。
  3. 介入内容
    • AP群:週3回の針治療セッションを実施。
    • ER群:週3回の運動リハビリテーションセッションを実施。
    • AE群:上記APとERを併用。
  4. 主要評価項目
    • 第4週時点の「疼痛および機能改善が有意に達成された患者の割合」(response rate)。
    • ITT解析を採用し、Z検定で群間比較を実施。
  5. 結果
    • 完了率:110名(91.7%)が試験を完了。
    • 第4週時点のresponse rate:
      • AP群 65.7%(23/35)
      • ER群 58.3%(21/36)
      • AE群 83.3%(32/39)
    • AE群はER群に比べて有意に高いresponse rateを示した(p<0.05)。
    • フォローアップ期間中も有効性が持続。 (pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  6. 結論
    • 鍼治療と運動リハビリはそれぞれKOAの疼痛緩和・機能改善に有効。
    • 両者を併用したAE群が最も高い効果を示し、8週間後までその効果が持続した。

考察

  1. 強み
    • RCTデザインによる高いエビデンスレベル
    • 実臨床に即した併用介入(針治療+リハビリ)の検証
    • フォローアップを含めた中期的な効果測定
  2. 限界
    • 被験者数がやや少なく、さらに多施設での検証が必要
    • ブラインド化が不十分(治療内容の性質上、患者・施術者の盲検化は困難)
    • 併用介入のコストや実施負担についての評価が欠如
  3. 臨床的意義
    • KOA患者に対し、鍼治療だけでなく運動リハビリを組み合わせることでより大きな改善が期待できる
    • 地域の鍼灸院・整体院において、運動指導プログラムとの連携強化が有用
  4. 今後の研究課題
    • 多施設・大規模試験による一般化可能性の検証
    • コスト効果分析(費用対効果)および患者満足度評価の追加
    • 他の整形疾患や慢性痛症例への応用検討

鍼治療と運動リハビリテーションを組み合わせたことで、より高い改善効果が得られた点に大きな意義を感じています。

これは、単に症状を緩和するだけでなく、機能を回復させることで根本的な改善につながることを明確に示しています。

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はりきゅう整体院 和からだみなおし処 矢上真吾